胸焼け(heartburn)の一般的な治療薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)の長期使用が骨折リスクの増大と関連していることが、韓国の新しい研究でわかりました

日本で対象となる薬としては『タケプロン、オメプラール、オメプラゾン、パリエットなど』があります

胃の壁細胞のプロトンポンプに作用し、胃酸の分泌を抑制する薬です

胃酸分泌抑制作用を持つ薬剤には他にヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)がありますが、プロトンポンプ阻害薬はH2ブロッカーよりもかなり強力な胃酸分泌抑制作用を持ち、分泌抑制作用は用量に依存します

H2ブロッカーよりも抑制作用が長時間持続します

オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールなど、(胃)酸分泌を抑制するPPIは、胃・十二指腸潰瘍、胃食道逆流性疾患(GERD)、食道炎の治療に使用されます

韓国、ハルリム大学病院(春川)家庭医学部のChun-Sick Eom博士らは、1997~2011年に発表された研究11件を対象にメタ分析を実施しました

その結果、PPIにより股関節骨折リスクは31%、脊椎骨折リスクは54%それぞれ増大しており、全体的には骨折リスクが29%増大していることがわかりました

ちなみにラニチジンやファモチジンなどH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)では、骨折リスクと有意な関連がなかったようです

ただし、H2ブロッカーによる酸分泌抑制はPPIほど強力ではなく、PPIの推定98%に対し70%であったそうです(という事はH2ブロッカーでも骨折リスクがあるように思いますが・・・)

研究結果は、医学誌「Annals of Family Medicine(家庭医学)」5月/6月号に掲載されています

この事から医師は骨折リスクの高い患者、特に閉経を迎えた50歳以上の女性にはPPI処方を慎重に行う必要があると思います

今回の研究から、酸分泌抑制薬を使用している患者様に対して継続が必要なのかどうか?副作用のリスクと長期間使用の必要性に、どちらを優先した方がいいのか、考えた方がいいかもしれませんね

ちなみにPPIを長期間飲む事で自力で胃酸の分泌ができにくくなります

言い換えますと消化がうまくいかなくなる為、食後に胃もたれ、消化不慮が起きやすくなる事は、知っておく必要があると思います