今回はアシステッド・ハッチング(AH)について記載します

アシステッド・ハッチング(AH)は、胚の表面を覆う透明帯に人為的に穴を開けて孵化を促す方法になります

透明帯が厚く硬いために孵化が起こりにくい為、着床がうまくいかないと考えられる人が対象になります

通常の体外受精-胚移植で妊娠しにくい理由の一つに、胚の孵化がスムースにいかないための着床障害が挙げられます

これを補助する手段として普及してきたのが、AH(アシステッド・ハッチング)という技術になります

胚を覆う『透明帯』と呼ばれる膜に切れ目を入れて、孵化しやすくします

一般にAHが有効とされているのは、凍結融解胚と、高齢女性の胚になります

凍結処理や加齢により透明帯が厚くなる傾向がある為です

体外受精や顕微授精による通常の胚移植が、3回以上不成功に終わった人にAHを実施すると、行わなかった場合と比べ着床率、妊娠率ともに10%程度上昇するという報告があります

通常、アシステッド・ハッチングを行うのは採卵後3日目の6~8分割期胚になります

一つ一つの細胞が互いに強く結び付き始める時期で、透明帯に穴を開けてもバラバラになることがないと言われています

手法は3種類

顕微鏡下で観察しながら専用の針で胚に穴を開ける機械的な方法

酸性の薬剤に胚を浸して透明帯を溶かす化学的な方法

レーザーを当てて穴を開ける方法

の3種類があります

最近は、胚を傷つける心配がなく簡便なレーザー法が普及しているようです

AHを行った小さな穴から孵化するときに細胞塊が途中でちぎれて、一卵性双生児が発生しやすいという指摘もあるようです

しかし、この点に関しては否定的な研究もあり、現時点では明確にはわかってはいないようです