今回はタイミング療法について記載していきます
妊娠は、精子と卵子が出会って初めて成立します
そして、精子と卵子が出会うためには、女性の排卵の時期に合わせて性交をする必要があります
このシンプルな基本にのっとった治療が、タイミング療法です
最も負担の少ない、不妊治療の第一ステップになります
タイミング療法の一番のポイントは、最も妊娠しやすい日がいつなのかを知って、それに合わせて性交をして頂きます
つまり、排卵日を正確に予測することが大前提となります
この予測をする際に欠かせないのが、基礎体温表と、経膣超音波検査 による卵胞の観察です
または、排卵検査薬(LH)で排卵日を予測していきます
基礎体温表を継続的に付けていれば、どのあたりで排卵が起こるのか、その人のパターンをつかむことができます
卵巣機能が正常な人の場合、排卵は月経開始から約2週間後、体温が最も低くなる日(低温最終日)の付近で起こります
そのため、低温最終日が排卵日であると考えがちですが、この日に排卵が起こる確率は10~20%と、思ったほど高くありません
実は排卵が最も多いのは、低温最終日の翌日か翌々日、つまり体温が上昇し始めて、低温期から高温期に移行するころだろうと言われています
もっとも、これはあくまでも確率ですので曖昧な場合があります
どの日に排卵が起こるかには個人差もありますし、その時々の体調などにも左右されます
そこで、さらに正確な情報を知るために行われるのが、経膣超音波検査です
基礎体温でおよその排卵日を推定したら、その数日前にこの検査を受けて、排卵の大きさを確認します
一般に、卵胞は排卵の数日前から、毎日2mmずつ大きくなり、直径が20mm程度になったところで卵胞が破裂して排卵することが分かっています
要するに、経膣超音波検査で卵胞の直径を計測すれば、あと何日ほどで排卵に至るかが、かなり正確に予測できるわけです
また、排卵前には頸管粘液の量も増えますから、内診時に調べておきます
もちろん、これは女性自身がチェックすることも可能です
長く糸を引く透明なおりもの(頸管粘液)が増えてきたら、排卵が間近に迫ったサインです
さらに、尿中の黄体化ホルモン(LH)の検査をすることもあります
LHは排卵を起こすホルモンです
排卵直前には、分泌量が急上昇する『LHサージ』という現象が起こります
このため、尿を調べることで排卵時期を予測できるのです
医療機関によっては、排卵を予測する市販の尿検査薬の利用を勧めているところもあります
なお、このタイミング療法は不妊治療の第一ステップとして、自然周期(排卵誘発剤などを使っていない自然な月経周期)で行われることもあれば、排卵誘発剤による治療と組み合わせて行われることもあります