今回は顕微授精について記載していきます

顕微授精(ICSI)では、1個の卵子に1個の精子を人工的に注入して受精させます

夫が無精子症で、精巣から精子を回収できた夫婦の場合は、この方法が実子を持つ唯一の手段になります

乏精子症無精子症、あるいは原因不明の授精障害で、体外受精では受精卵を得られない場合、次の選択肢となるのが顕微授精です

体外受精では、卵子1個に対して、運動精子が10万個以上必要をされていますので、それより少ない場合には顕微授精が選択される事が多いです

また、夫婦のどちらかに抗精子抗体がある場合も、体外受精より顕微授精の方を優先されると思います

顕微授精に用いる精子は、1個の卵子に対して1個です

つまり、基本的には採卵でとれた卵子の数だけ運動精子があれば、実施可能です

射精液に運動精子が少しでもある場合は、妻の採卵スケジュールに合わせて、医療機関で採精します

一方、無精子症で精巣精子回収法を受ける場合は、精子を回収できる確率が3~6割ですので、採卵が無駄にならないよう精子回収を先に行い、回収できたら凍結保存して採卵を待ちます

授精は顕微鏡下で行います

まずは精子の尾部をピペット(スポイトのようなもの)の先で押さえつけ、動きを止める『不動化』を行います

こうすることで精子が活性化し、授精できるようになります

その後、インジェクションピペットと呼ばれる専用の注入器で、精子を卵の細胞質内へと送り込みます

受精卵ができた後の治療は体外受精と同じで、受精後2~3日で子宮胚移植を行います

顕微授精を受けるときは、男児が生まれた場合、夫と同様の造精機能障害を受け継ぐ可能性があります

授精には一般に、形態的に異常のない精子を選びますが、精子数が少ない場合は難しいケースがあります

基本的には重度の男性不妊では、事前に染色体検査と遺伝カウンセリングを行います

説明をよく聞き、夫婦でよく話し合った上で、顕微授精を行います

ちなみに乏精子症、無精子症は漢方薬で良くなる事はよくあります