体外受精や顕微授精を行う上で、必要になるのが凍結保存技術です
精子の凍結保存は古くから行われていますが、最近は、胚も質を変えずに凍結・融解ができるようになっています
体外受精や顕微授精でできた胚のうち、移植できるのは原則として3個までです
余った胚(余剰胚)は以前は廃棄されていましたが、最近は凍結保存ができるようになりました
現在の主流は『ガラス化法』です
耐凍剤を加えた保存液に浸した胚を液体窒素で急速凍結する方法で、細胞内に氷の結晶が発生することなく固化するので『ガラス化』と呼ばれます
融解後の胚生存率はほぼ100%だそうです
従来の『緩慢凍結法』より優れているとされ、凍結しない新鮮胚と比較しても治療効果はほぼ同じようです
胚を凍結保存するメリットとしては、次の治療における身体的、精神的、経済的な負担を軽減できることになります
移植した胚がうまく育たなかった場合、次の治療では卵巣刺激から採卵・採精、媒精までスキップできます
子宮内膜の状態などにより胚移植がキャンセルになった場合も、次の治療周期に、凍結融解胚を移植できます
凍結胚は、理論的には半永久的に保存可能になります
最初の胚移植で妊娠、出産した後、2人目の妊娠を凍結融解胚により行うこともできます
とはいえ、医療機関では保存期間を『1年間』などと決めており期間を延長すると新たな費用が発生する場合もあります
日本産科婦人科学会は、胚の凍結保存期間について
①夫婦の婚姻継続期間に限る
②女性の生殖年齢を超えない
という2つの条件があります
ちなみに卵子の質が悪く採卵できない方も、子宮にエネルギーを送る補腎薬を使う事で採卵できるようになってきている方もいらっしゃいます